レッスルエンジェルスシリーズの妄想を放り投げるプログでした。今はゲーム話とTRPGがメイン?
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レッスルSS 始まる関係 暫定版
ということで金森×麗華さまSSその1。校正はほとんどやってないので、これまた拙い話です。短編集の回に触発された捏造です。短編集は読んでなくても大丈夫。内容には触れていないし。しばらく続きます。

続きからより。この話は作成者の妄想で作られており、如何なる現実の団体及び現実的な根拠にも依拠していません。また、レッスルに関しても基本的に独自解釈であり、公式其の他とは著しい乖離があり、御不快に感じるかもしれません。さらに、キャラによっては不当に扱われているかもしれません。以上のことを、どうぞご容赦を。

暫定版につきその内、色々内容は変えるかもしれません。
 社長の執務室はガラス張りで、外からでも中が丸見えである。その部屋の主が狭っ苦しい中、机に座ってノートパソコンをいじっているのが、今も金森麗子の目に入ってきた。彼女が聞いた所には、女子プロレスということで、妙齢の女性の出入りが必然的に多くなるため、そういうの心配を考えて、だそうだ。しかし何が心配なのか、金森はいまいち分からないし、先輩達も考えすぎだよねだとか気をつかう所を間違ってるよね、だという風に言っている。
「社長~ 入るね!」
 金森麗子はのんびり挨拶をしながら、透明なガラスドアを開け、夕焼けに赤く染まる部屋に入った。中は相変わらず窮屈さで、目立つものは、職員室でよく見た社長のステンレス机と、冷蔵庫みたいな大型コピー機、ファイルがちょこちょこ置かれた低めのだが天井まで届く本箱だけなのだが。どうして、もっと広い部屋を使わないのか金森は毎回不思議に思う。
「おう、来たか。そこに座ってくれ」
 社長がパソコンから、大きな切り傷が眉間を裂いている顔を上げ、入り口の脇に公園のベンチみたいな長椅子を目で示した。机の上にはノート以外にはモデムと資料ファイル、せいぜい電動ポットくらいしかない。
「毎回、思うんだけど、社長の部屋って殺風景だよね。広いところに移って、もっと何か置いたらいいんじゃないの?」
 部屋の狭さといいモノのなさといい、金森がイメージする無駄に高い絵とか絨毯とかがある、高級そうな社長室とは程遠い。ちょこんと椅子に座ると、彼女が着ている淡い緑のミニスカートと、クリーム色をしたパーカの頭巾がひらりと舞った。
「うん? そうか? 事務部屋なんてこんなものだろ? 俺一人で働いてるんだし」
 机の上の電動ポットから、白い二つのマグカップにお湯を入れながら社長は答えた。着ている服も、端から見ても安っぽく埃に汚れた黒いスーツの上下にノーネクタイ、顔の傷も合わさりチンピラさんみたいだ。
「でも、社長さんだから、何かすごいもの置いてたりするんじゃないの? ナポレオンとかいう高そうなワインとか、鹿の剥製とか」
「ナポレオンはブランデーじゃなかったか? それはともかく、そういうのは自分の趣味で飾るものだからな。俺に金はないし、んなもんに興味もない。それなら、そんなもの置くより、お前に飯でもおごった方がいいな」
 こちらへ両手にコップを持って来て、金森の前にある小さな木机に並べる。社長は近くで見るとがっちりした感じが分かる背の高い若い人で、やさしい顔立ちに似合わぬ眉間のも含めた大小の傷が特徴た。体中にも同じように様々な傷があるため、人前では長袖以外を着ない。団体オーナー直々の指名で社長に就任した人で、その経歴は先輩達どころかコーチ達にもよく分かっていないらしい。
「本当! ならなら! 先週のお休みの時においしいケーキ屋さん見つけたんだけど! 次の休みの日いいよね!」
「別に本当におごるとはいってないんだが。まあいいか。ただ、予定が開いてたらだけどな」
「わぁ! ありがとう! 約束だからね!」
 目を輝かせる金森に、社長は苦笑しながら、敵わん笑顔だとさっぱり切りそろえられた短髪を掻ぉまがら、
「ところで、最近どうなんだ。練習とか辛くないか。あ、お茶でよかったよな」
「あ、うん、どっちも大丈夫だけど」
「そうか。それならいいが、あんまり無茶するなよ。怪我とかはスポーツマンにとって、一番の大敵だからな。特にレスラーと怪我は、無縁とはいかないし」
「分かった、注意しておくね!」
 そう素直に元気よく頷く姿に、目を細める社長の顔は、かわいい妹を見るような感じである。裏世界の地下格闘技場でのチャンピオンだとか、マフィアの用心棒だったとか、特殊部隊出身だとか噂はいろいろで、スポーツ紙などでも強面で通っているが、金森にとっては年上で偉い人ながら話をきちんと聞いてくれる、やさしい小父、お兄さんと言う感じだ。年齢はかなり気にしているので、気をつけなくてはならない。
「あ、そう言えば今日のお話って何? また写真集取ったりCM出たりするの?」
 出されたティーバック紅茶をフーフーしながら、金森は聞いてみる。だいたい、社長室に呼び出された時の話題は、そういう芸能活動的なものが多い。ミスコン優勝の経歴とそれ相応のルックス、人当たりの良さから新人ながら彼女には、そういう話が良く来る。金森的にもプロレスより手慣れた感じがして楽だし、色んな所に行けたり有名人に会えたり綺麗な服着れたり、入れたり尽くせたりなので大歓迎である。しかし、社長は首を振って、
「ああ、今日はそういう話じゃないんだ。本人が来てから説明しようと思ったんだが、お!」
「ごきげんよう! 相変わらず、凶悪な面をなさっておりますわね!」
 ノックもなしに勢いよく開け放たれたドアが、ガシンという音を立て、張りのある女の人の声が部屋に響いた。とりあえず、ガラスなのにあんなに強く叩いたら割れちゃったりしないのかなと、金森は心の隅で思う。
「うっさい。お前こそ、いつも通り口悪いな」
「あら、心外ですわね。事実を申し上げただけと言うのに! それにしても、この部屋も相変わらず狭くて殺風景ですわね。鹿の剥製か何かを置けば、あなたの顔にもピッタリでよろしいのではなくて?」
「置く場所がないし、そんな金もない。というか、麗子に同じ事言われたわ」
 振り返って仰ぎ見ている金森の目の前に立っているのは、淡く輝く白いスーツをぴっちり着こなした豪奢な金髪の女性。白磁のような肌と丁寧な物腰にもかかわらず、深く青いその瞳は全てを見下ろし、誰も自分の側に立たせないと宣言しているのが、まず金森の心に深く響いた。
「レイコ? どなたですか、それは」
「そこにいるよ。前に話した、お前の新しい付き人をやらせる子だ」
 社長がそう言って金森に向かって顎をしゃくり、その女性がふっと彼女に視線を向けてくる。それだけで、体が竦んだ。
「……見た目や姿勢は、そこそこ間ともに見えますが、私の付き人をなさるには風格が足りませんね。チェンジして下さる?」
「また言下に否定してくれるな」
 綺麗な、でも聞こえるだけでハッとさせる威厳に満ちた声、そして立っているだけで相手を圧倒する存在感、そんなものを併せ持つ彼女の名は、
「もしかして! 市ヶ谷さん! あのプロレスラーでお嬢様の!」
 金森が思わず立ち上がって叫ぶ。ビューティー市ヶ谷、歴史こそ浅いが、その規模は日本有数と言われる市ヶ谷財閥のお嬢様、重量級を若くして制し日本女子柔道最強となった後、突如プロレス界に転向、今は破天荒な行動力と常識外れの強さでその名を轟かせている、世界最高峰エースプロレスラーである。金森は未だ新人で、彼女を間近で見るのは初めてだ。
「ええ、そのとおりですが、あなたのような小娘に軽々しく名前を呼ばれるのは、不快ですわね。そもそも、私に会って挨拶もな」
「こんにちは! 市ヶ谷さん! うわぁ! テレビで見るよりキレイ!」
 金森が、挨拶とともに賞賛の声を上げ、ちょっと驚いて怯んだ市ヶ谷の顔や体をを、マジマジと眺める。170を越えるスラリとした長身と、恰幅の良い体。山のように大きく見えるが、その優雅な物腰から決して固さも無骨さを感じさせない。足には黒いストッキングを穿いて、太く発達しているが、大きな身長とは均整が取れていて、大根足みたいな野暮ったい感じはなく、しっとりと柔らかそうに長く伸びている。
 そんな強さを感じさせながらも気品を損なわない姿は、TVで見た時もキレイですごいと思っていたが、直接に見たその姿はそれ以上、本物の女神様みたいである。金森も容貌には自信があったが、そんなものは足元にも及ばないと素直に思う。
「私が美しいのは当然です。そのような言葉、褒め言葉にもなりませが、語彙貧弱な方のようですから素直に受けて差し上げますわ」
 市ヶ谷は、出端を挫かれちょっとムッとした顔をしていたが、金森から発せられる無邪気な羨望の眼差しに徐々に気を良く戻したのか、うっすら微笑み優雅に髪をかき上げた。金森の方は、そんな小さな動作にすら、目をきらきらさせて、
「はい、ありがとうございます! あ、ごめんなさい、いきなりジロジロ見ちゃって」
「美しいものに目を奪われてしまうのは致し方ないこと、構いませんわ。ただ、心の狭い他の方に同じ事をやってはいけませんわよ」
「は~い! あ、もう少し失礼しますね!」
「結構。好きなだけ、この至高の美を愛でなさい!」
「はい!」
 本当に座ったりくるくると回りを回ったりして矯めつ眇めつし始める麗子、それを他所に社長が笑いながら市ヶ谷に問いかける。
「で、チェンジが必要か?」
「……まあ、見どころはあるようですが、まだまだ未熟な方の様ですから、私の付き人にするには格が足りませんわね」
 ちょっと渋い顔をして、市ヶ谷は文句をいうが、否定するなら取ってつけたような言い方はせず、もっと問答無用である。これはいけるかと思いながら、社長はすぐに朗々と答える。
「なあに。格なんてお前と一緒にいればすぐつくさ。何てったってビューティー市ヶ谷だ、近くに仕える子を一流に変えるのなんて訳ないさ」
「私、ベビーシッターになったつもりはありませんわよ。有望と言っても、どこの馬の骨とも分からぬ輩であることは変わりません。私にも面子がありますし、それに付き人とは私の世話をするもの、手を煩わせるのは本末転倒ではなくて?」
「その辺りは互助ってことで。それに、お前くらいの大選手になって、未だ弟子の一人もいないなんて言うのは逆に面子が立たないんじゃないか? 弟子をとって育てるのも、プロレスラーのステータスだぜ?」
 そう言って笑顔で指を振る社長に、市ヶ谷が少し考え深げに顎に右手を当てる。ボーンという軽い音とともに、社長の机の上にある時計が時刻の変化を告げた。
「ふむぅ、一理ありますわね。ですが、この前、逃げ出した無能みたいなのを、押し付けられても困りますし、彼女が私の指導に着いて来られるという保証があるのですか?」
「? 私がどうしたんですか」
 なぜか、しゃがんで市ヶ谷を見上げている金森が、そんな質問を発する。彼女の土下座して仰ぎ見るような変な格好に、社長が訝しげな顔をして、
「お前は、何やってるんだっていうか、聞いてなかったのか」
「あ、社長社長! 市ヶ谷さんって女王さまみたいだから、下から見るとすごいんじゃないかって思ったんだけど、ホントにすごかったよ!」
「何を言ってるんだ、お前は……」
 勘というか要領はいいはずなのだが、たまに妙なボケをかますなこの子は、と社長は片手で頭を抱えながら思う。市ヶ谷の方は、金森のトンチキな行動に、口に右手を当てて軽く、
「ほっほっほ。私は、生まれながらにして選ばれしもの。そんな当たり前の事を大喜びとは、かわいい方ですわね。でも、一つ間違っておりますのは、私を女王などという陳腐な存在とは比較にならないほど輝いているということです!」
「そうですね! 市ヶ谷さんホントすごいし! あ、それでぇ、お願いなんですけど」
「なんですの?」
「胸触ってみていいですか!」
「はぁ?」
 金森の突拍子のない要望は、普段から同じように無茶な市ヶ谷をして、鳩が豆鉄砲を喰らったような顔にさせた。勘というか要領はいいはずなのに、たまに怖いもの知らずなボケをかますなこのアホの子は、と社長は両手で頭を抱えながら思う。
「市ヶ谷さんの胸、すっごく大きいし! 触ったら気持ちいいと思うんですよ!」
「あのねぇ、あなた。それなりにまともだと拝見しておりましたが、淑女の嗜みという言葉も知らないのですか。初めてお会いした方にそのような申し出、破廉恥で恥知らずですわね」
 さすがに表情を曇らせ、呆れた調子で市ヶ谷が答えるが、金森は気にした様子もなく明るい声で、
「でもでも! 市ヶ谷さんみたいなおっきくてキレイな胸、私、直で見たことないんですよ! 自分の胸はこんなで小さくて丘みたいだし!」
 そう言って、自分の形は良いが小さな、と言っても日本人的には平均くらいであろうが、胸をだぼっとした服の上から押し上げる。かわいらしい胸が盛り上がり、クイっと上をむく。何というか、妹みたいな少女とはいえ、社長的には視線に困る。
「たしかに、私と比べれば、あなたのささやかな胸は地味な平野ですわね」
「でしょ? だから私、大きな胸って憧れなんです! だから触らせてくださいよ!」
 迫るように軽く腕を握って振られ、市ヶ谷は、珍しくちょっと圧倒されながらも、邪心の感じられない金森の笑みに、仕方なさそうにため息をつき、
「恵まれないものに慈悲を与えるのも強者の務めでしょうか。よろしい、少しだけなら触らせて差し上げます」
「ありがとうございます! じゃ! えい!」
 お礼を言うや否や金森は遠慮なく、その大きな胸を下からギュッと握りって押し上げ、市ヶ谷を驚かせる。
「ちょっちょっと! いきなり鷲掴みは止めてくださる?」
「ごめんなさ~い。うわぁ、ほんとおっきくてむにゅむにゅしてる! 社長! ほらほら! すごいよ! 目を逸らしてないで見てよ!」
「見てよ言われてもだな……」
 金森が市ヶ谷の胸を上下にゆっさゆっさと揺すっているのに、興味がない訳でもないし、男の本能的に、その巨乳が揺れる音に合わせて視線が下に向いてしまうのだが、
「こっちを向いたら殺しますわよ!」
 命には変えられないのだ、うむ。
「あなたも! いい加減になさい! もう満足したでしょう!」
「あ、はい! どうもありがとうございます! ふわぁ! すごく大きかった!」
 何やらホクホク顔で、手をニギニギする金森。羨ましいなんてちっとも思ってないからな! とか社長内心で思いつつも、その手のひらに釘づけである。
「あ、市ヶ谷さん市ヶ谷さん! 大きな胸ですけど、やっぱり浮くんですか? お風呂に入ると!」
「……あなた、馴れ馴れしすぎますわね。分際というものをご存じない?」
 興奮冷めやらぬと言った風情で聞いた金森だったが、市ヶ谷はさすがに我慢の限界だったか、無表情に言い放つ。金森は冷水を浴びせられたように驚き、すぐしょんぼりして、
「あ、えっと…… ごめんなさい」
「まったく、礼儀知らずというのは困った事です。寛大な私だからこそだということを、しっかり理解なさい?」
 ち市ヶ谷から発せられる静かな怒りのオーラに、さすがの金森も半泣きになり、
「はい…… 本当にごめんなさい。市ヶ谷さんみたいなすごい人が、やさしくお話してくれるなんて思わなかったから、グス」
「ふ、ふむ、私のような完璧な人間ならともかく、あなたのような野卑な方では粗相も当然です。今回は不問にして差し上げますわ」
 金森の涙目と、それでも続けられる賞揚に、市ヶ谷は、フンとそっぽを向いて照れたように言い捨てる。その言葉に、金森は顔を上げてパーと笑顔になり、市ヶ谷の首にいきなり飛びつく。
「わぁ! ありがとうございます! 市ヶ谷さんってホントやさしいですね!」
「こ、これ無作法な! 私が言った事を理解していないのですか!」
「あ、つい! ごめんなさい! でも、いい匂いですね市ヶ谷さん!」
「あら、庶民なあなたでも気づきまして? これは、イタリアのブランドに、私の名を冠して作らせた……」
 金森を首に巻きつけたまま、得意気に話し出す市ヶ谷に、社長はほっとしながら眺める。何やかんやだが、大丈夫そうである。ちょっととボケているが、金森は持ち前の人当たりの良さで、市ヶ谷の鼻持ちならない態度を苦にしていないし、彼女に邪気がないためか、媚びたような態度も市ヶ谷の気には触っていない。
「そして私は、アメリカの首相だかなんだかに言ってやったので、あなたのような風情の理解できないヤンキーはお家に帰って牛でも追ってなさいと!」
「へー さすが市ヶ谷さん、かっこいいです!」
「あー、話を続けていいか? つうかなんか色々変なのは、突っ込まなくていいよな?」
「あら、いましたの? 人が話しているのに、横から声をかけないで下さる?」
「お前ね…… ごほん! それで、付き人の件なんだが」
 社長の台詞を聞いて、金森が市ヶ谷の首にぶら下がったまま、
「? 付き人って何ですか? 誰ので誰が?」
「お前は何も聞いてないんだな。というか、抱きついたままでいいのか」
「そうですわね。さすがに重いですから、お離れなさい。えーと」
 金森を地面に降ろして市ヶ谷が額に手を当てる。空は夕方から夜に向かい、街並みに街灯の明かりがポツリポツリと点き始めた。
「麗子です、金森麗子!」
「麗子ですわね。名前を覚えさせていたきますわ」
 市ヶ谷とフムフムとうなずき、一方金森は、ちょこっと市ヶ谷に一礼し、
「ありがとうございま~す! それで、社長、さっきの……」
「ああ、お前に市ヶ谷の付き人をやってもら」
「本当ですか! うわ~い!」
 社長が言い終わらないうちに、金森は大きな歓声を上げた。金森も、市ヶ谷のうわさは悪い事も聞いているはずだが、さて。彼女の耳に口を寄せ小声で、
「そんなに喜んでるが、大丈夫なのか、噂くらい聞いているんだろ?」
「何が? 市ヶ谷さんみたいな人の側に、いられるなんてすごいでしょ! 社長! ありがとう!」
「……まあ、お前がそうならそれでいいが。あと、付き人になれるか、未だ決まってないぞ。本人の意志確認をだな」
「私はだいじょぶで~す! 今すぐにでも! 市ヶ谷さんもいいですよね!」
「あなたでは正直、役不足感は否めませんわね」
「あ、う、そうですか……」
 はしゃぐ金森を一言で黙らせるが、考え深けに目を閉じて、それ以上、市ヶ谷は言葉を発しない。さて、何だかんだで甘えを許さない奴だが、金森にどういう結論を下すか。金森は彼女をハラハラと視線を動かし固唾をを飲んでみつめているのを横目に見ながら、社長も緊張して問い質す。
「で、どうなんだ? 自分から名前も覚えるくらいだし、まんざらでもないはずだが」
「……そうですわね。興味がない訳ではありません。麗子!」
「は、はい!」
 いきなり部屋を響かせる大声で名前を呼ばれ、金森はビクッと背を伸ばす。
「あなたは見た目以外の、品性、実力、名声、全てにおいて私の従者にふさわしいとは言えません。幼稚で凡庸以下、正直、犬でも連れていた方がマシですわ」
「……はい」
 市ヶ谷が冷たく容赦のないセリフを下し、金森は肩を落とし体を小さくしてうなだれる。いつもの事とはいえ、勝手な言い草にちょっとムッとしながら社長は、
「おい市ヶ谷、お前」
「うう、せっかく市ヶ谷さんと一緒にいられると思ったのに」
 さすがに新人に言い過ぎだと思い社長は注意しようと思ったのだが、当の金森がまったく気にしていないような言に気勢を削がれる。変なところで打たれづらい奴、ちょっとボケてるからであろうか。市ヶ谷の方は無表情のままだったが続けて、
「未だ話は終わっていません。ですが、犬猫は私が連れたところで、まともに教えられる訳ではありません。まあ、私の風格で多少はまともになるでしょうが。麗子、あなたは誓えますか?」
「な、何がです」
「私の側に仕えるにふさわしい、力強く気品溢れる淑女に、レスラーになるということです。それができないようなら」
「はいはい! 誓えまーす! 市ヶ谷さんの側にいられるかっこいいレディになってみせまーす! だから市ヶ谷さんよろイタ!」
 自分の高々とした宣言の途中で、気負い込んで割り込んで言った金森の頭を、いつの間に取り出したのか、大きなハリセンで叩きつける。涙目で頭を押さえる金森に向けて、市ヶ谷はため息がてら、
「まったく、そういう落ち着きのないようでは、淑女には程遠いですわね」
「ハリセンで黙らせるのは淑女とは言えんがな。金森、ガンとか言うハリセンとは思えぬ音がなったが大丈夫か?」
 社長の心配に、金森はちょっと声を細らせながらも、
「だ、大丈夫。市ヶ谷さんもごめんなさい」
「よろしい、これからは私の従者ということで、バシバシ指導していきますから、よろしいですわね、麗子?」
「は、はい! 頑張りまーす!」
 そう言ってムッとふにゃふにゃした顔をムッと真面目に固める。
「ふふ、ま、凡人は凡人らしく、しっかりあがくことです。そうすれば、あなたでも私の足元くらいに及ぶかもしれませんわよ」
 言葉こそいつも通り無闇に高飛車だが、拙い純真さを示す新しい付き人に、市ヶ谷が滅多に見せない柔らかい瞳を向けていたのは、なかなか忘れられそうにない社長であった。

 何にせよ、金森麗子とビューティー市ヶ谷の師弟関係の始まりは、まずまず順風といって良かった。しかしもちろん、そのまま順調に行くことなぞは、市ヶ谷の破天荒さから、あり得ることではなかったのであるが。

続く?
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